It is three more steps till the future of which it dreamed when young.
 

 

幼い頃に夢見た未来まであと3歩。もう少しで夢がかなう、あと3歩で。

1歩目は友達を想って踏み出そう。
つらい時には背中を押してくれた、楽しい時には一緒に笑ってくれた、友達。
心が通じ合えたと思う友達。
お世話になった、小中高、とずっと一緒だった友達。
気が楽になれた友達。
それぞれと大切な思い出があって、それぞれと切れない絆があると信じている。

2歩目は両親を想って踏み出そう。
悲しい時にはそっとしておいてくれた、嬉しい時は黙って抱きしめてくれた、両親。
小さい頃からやんちゃでおてんばで、とんでもない娘をよくここまで育ててくれたと、ほんとうにほんとうに感謝している。
お母さん。頼れるお母さん。お母さんは、私をいちばん直接可愛がってくれた。
ちいさい頃のことはうろ覚えだけれど、いちばんに浮かぶ思い出は中学3年生の冬。受験生でカリカリしていて、ストレスがたまっていた。そのストレスのはけ口が見つからなくて、お母さんに八つ当たりをした。でも、お母さんはめげなかった。黙ってお茶やお菓子を差し入れてくれた。お母さんのつくってくれた梅茶漬けの味は絶対に忘れない。私も、いつか梅茶漬けをつくってあげたいと思う。
そして、この夢がある未来を私に見させてくれたのもお母さんだった。
お父さん。優しいお父さん。お父さんが私に手をあげたことが、一度だけ、あった。
それはお母さんと喧嘩して、家出をしたとき。ちょうど小4の夏休みだった。なにで揉めたのかなんてまったく覚えてない。ちいさなことでお母さんと言い争い、2度打った。打った時のお母さんの寂しそうな顔はいまもまだ覚えているけれど、家に帰ってきたときのお父さんの険しい表情のほうが脳裏に焼き付いて離れない。馬鹿、とだけ言って私の頬をパチンと叩いた。痛かったけれど、あたたかかった。

3歩目は彼を想って踏み出したい。
いつもそばにいてくれた、彼。
あと1歩で彼に別れを告げることになってしまう。私は彼とは違う人と永遠の愛を誓う。
それを伝えた時、彼はすこし考えさせてと言い、そっと私から離れた。
彼が帰ってきた時、私は彼が何か言うのが怖かった。思わず目を背けた。でも、彼は何も言わなかった。黙って肩に手を置き、頭をコツンと合わせた。
まるで“おまえが決めればいい”とでも言うように。
そんな優しさは欲しくなかった。もしかしたら彼を選んでいたかもしれないのに、また彼の優しさに甘えてしまった。思い返せば私はいつも彼に甘えていた。
でも、私はこの3歩目を踏み出して彼とほんとうの別れを迎えてしまう。
ごめんなさい、ありがとう、これだけは伝えたかった。

そして踏み出した。
It is three more steps till the future of which it dreamed when young.
幼い頃に夢見た未来まであと3歩。
その3歩はもう戻れない道へと変化した。私はもう帰れない、帰らない。

さきほど3歩先にいたあなたは、今は隣で感涙の波に必死で耐えている。
私はあなたと残りの生涯を共にすると誓う。あなたも誓ってほしい、私を愛すと。

そして窓辺からちいさなガーベラのブーケが投げられた。

 

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